ちぐさのひとりごち

流されるがままに生きてきた人が想うことをたまーに書きます。

青春の一冊に辿り着くまでの思考の筋道と、選んだ一冊について。

特別お題「青春の一冊」 with P D MAGAZINE
http://blog.hatena.ne.jp/-/campaign/pdmagazine

 

何を書こうか戸惑い、先ずはその対象の絞り込みから始めてみた。
青春の一冊。そもそも青春とは何か。

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…良く分からない。青年時代とはいつなのか。

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なるほど…10代後半からで、強調をするほどでは無いとして、15歳~29歳としましょう。その間で読んだ本のうち、お題の中にあるように「時間を忘れてしまうほど夢中で読みふけった一冊」、ただし「漫画・コミックの類は対象外」として、これを選んで書けば良いのだということだそうだ。

 …さて、どれにしよう。

読み耽ると言えるほどにどっぷりハマって読み続けた本があっただろうか。10代前半までなら日本に居なかった事もあり、日本語に飢えていた為、近くで手に入る本なら何でも読んだ。福永令三氏のクレヨン王国シリーズ、宗田理氏のぼくらシリーズ星新一氏、筒井康隆氏のSF短編、高千穂遥氏のクラッシャージョウシリーズ、赤川次郎氏の各シリーズなどなど、当時の年代で読める物は何でも読んだ。青春の門を読んで子供心にドキドキしたりもした。意味がわからないなりに団鬼六氏の作品を読んで世の大人が怖くなったりもした。何にせよ自由な時間はほぼゲームか、日本語の活字と共にあった。

10代後半は日本に戻り、この飢えから解放されていた為、ロクな読書をしていない。どちらかと言えばマンガばかりで、これを除いてしまうと本当に神坂一氏のスレイヤーズシリーズ、上遠野浩平氏のブギーポップシリーズ、あかほりさとる氏の各シリーズ、その後に小野不由美氏のゴーストシリーズと十二国記シリーズ、田中芳樹氏の創竜伝シリーズ…挙げていくだけで恥ずかしくなってくる。

20代に入る手前くらいから結婚するまでは、宮部みゆき氏、森博嗣氏、京極夏彦氏を主軸に各シリーズを乱読しつつ、西尾維新氏、乙一氏、青柳碧人氏など同年代の書く文章を凄いなと思いながら読み、結婚後は読書という趣味そのものが無くなった。ただ、十二国記シリーズだけは続きが気になるのでノンビリ待つ事にしている。

久々に本について真面目に思い返してみたが、こうこれ迄に読んだもののうち、主要なものを並べてみるだけでも、一冊これと言われると非常に悩ましい。唯一諦めきれずに新刊を待ち続けている十二国記シリーズが最もこれに近いのかもしれないが、シリーズの中でどれをと考えた場合、やはり最初から読んで世界観を理解してからでないと、私の最も好きな「図南の翼」の本当の良さは伝わらないだろうし、それを一冊に選ぶのは、紹介される側からすると宜しくないだろう。

すると、短編作品集か、ストーリーが一冊で着実に遜色なく完結する物を選ばねばならぬ事になる。更にはその中でも青春時代のベスト。これは難解な問題だ。敢えてその中で、このブログのエントリを読んで頂いた方に一読頂きたい一冊を…と考えて考えて考え抜いて、吉本ばなな氏の「哀しい予感」にした。

未読の方も少ないかもしれませんが、もし読まれる方がいらっしゃる場合にはWikipediaなどにはネタバレが多分に含まれていますので避けて頂けたらと思う。

選んだ理由は、その世界から想像される空の色、湿った空気、匂い、音、時間感覚がスムーズに自分の中に入り込んできて、当時の自分には妙に心地よく感じられたこと。また、「おば」の行動や言動が変に生真面目だった自分にはとても魅力的に感じ、惹かれたものだ。今思えば、当時の私はこの一冊を何度も読み返しましたが、それは恋愛感情の生まれる前だったので分からないが、恋のようなものだったのかも、しれない。

そんな訳で長々と書いた割にはベストセラーの有名作品で恐縮だが、私の青春の一冊でしたとさ。

哀しい予感 (幻冬舎文庫)

哀しい予感 (幻冬舎文庫)